パン屋・カフェに必要な資格と営業許可の申請から開業までの手順

パン屋・カフェの必要な資格と営業許可の申請から開業までの手順

パン屋やカフェのお店を開業したいと思った時、必要な資格や営業許可はどこにどんな申請をすればいいのでしょうか。

もちろんパン屋(ベーカリー)を開業するためには必要な資格があり、パンを製造・販売するだけではなく、店内飲食するベーカリーカフェ、テイクアウトのサンドウィッチ調理・販売をする場合など、それぞれで取得しなければならない営業許可も違います。

そして営業許可の種類によって要件も違いがあるのはご存知でしょうか。

スムーズに準備を進めるためにも、必要な資格と営業許可の解説。
これまで各都道府県でパン屋・カフェを数多く開業してきた経験から、申請や検査までの手順についても説明したいと思います。

開業する為に必要な資格とは

パン屋の営業だからパン技能の資格が必要なのかといえば、そうではありません。

パン技能の資格や専門店で修行したなどの経歴は、店舗のブランディングにおいては効果があるかもしれませんが、パン屋のお店を営業するためには、パン技能の資格がなくても営業は出来ます。

パン屋を始めれば年数に関係なく「パン職人」というわけです。

ただ、開業時に公的機関などに借入を申し入れる場合は、経験などの要件を満たさない可能性がありますので、それをカバーできるだけの事業計画や説明が必要になります。

パン屋・カフェを営業するために必要な資格は「食品衛生責任者」です。

飲食店を開業するとなると、食品衛生法施工条例により、店舗毎に食品衛生責任者の有資格者が必要です。

必ず経営者が取得しなければならないわけではありませんので、お店に常駐する従業員の方でも可能です。

多店舗展開する場合は、店舗毎にそれぞれ食品衛生責任者の有資格者が必要となるわけです。

食品衛生責任者の資格は、全国にある食品衛生協会の講習(受講料1万円程度)を受講すれば資格を取得することが出来ます。

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講習を受けると証書やプレートがもらえます。各協会で証書の様式やプレートの色も違います。

一度取得すればどこの都道府県でも使用可能な資格になります。
調理師免許を持っている場合は、上記の講習が免除され営業許可の申請にも使えます。

また収容人数が30人以上の店舗を開業する場合には、「防火管理者」の資格が必要になります。

受講する際は店舗の延べ面積が300平方メートル以上か未満によって、甲種講習・乙種講習と違いがありますので店舗の面積や席数がわかる平面図などが決まったら受講しましょう。
所轄の消防署や自治体等が主催する講習を受け取得できます。

パン屋・カフェに必要な営業許可とは

飲食店舗を営業する場合、食品の営業許可が必要です。

営業許可は管轄の保健所において、申請書類や申請手数料、店舗地図、施設基準のわかる店舗平面図、食品衛生責任者の資格を証明するもの、法人は登記簿謄本などをもって申請します。

「菓子製造業」と「飲食店営業」

パン屋(ベーカリー)に必要な営業許可・・・「菓子製造業」

街中で見かけるパン屋さんのように、パンやお菓子の製造・販売をしている場合は、菓子製造業の許認可が必要です。

カフェやレストランなどの飲食店に必要な営業許可・・・「飲食店営業」

飲食店には、飲食店営業が必要となります。
メニューにパンがあり、持ち帰らずに店内で飲食するのであれば、飲食店営業だけで申請できます。

販売以外にベーカリーカフェ・イートインコーナーのように店内で飲食する場合は、「菓子製造業」と「飲食店営業」を申請しなければなりません。

またパン屋でも、持ち帰りのサンドウィッチを調理・販売する際は、菓子製造業と飲食店営業が必要となります。

※令和3年6月から営業許可の範囲が変わります。
保健所に確認したところ、上記期日から「菓子製造業」の営業許可で、簡単なドリンクやサンドイッチなどの軽飲食が可能になります。但し、店舗の施設基準によっては認められないケースもあるようです。国の方で厳密に決まっているわけではないので、保健所側でも都度確認しなければならないようです。
もし現在「菓子製造業」の許可だけの方で、ドリンクやサンドイッチを提供したい場合は、管轄の保健所に確認してください。

申請する前に管轄の保健所で、自分の営業する店舗業態がどの営業許可に該当するか必ず事前相談してください。

もし営業許可を得ずに営業してしまうと違反として、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となってしまいますので気をつけましょう。

営業許可に沿った施設基準

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パン屋・カフェで営業許可を取得する際に1番気を付けるポイントは、営業許可によって定められている施設基準をクリア出来ているかということです。

菓子製造業・飲食店営業では、それぞれで規定が決まっており施設基準が異なります。

さらに厄介なのは、各都道府県の保健所によっても施設基準が異なるということです。

仮に大阪の保健所で菓子製造業を取得する為にクリア出来ていた施設基準でも、他の県ではクリア出来ないことがあります。また同じ県内でも保健所が変われば施設基準も変わります、全国統一の基準ではないのです。

菓子製造業の場合、よくあるケースの施設基準では厨房は工場のような扱いとなり、間仕切りで密閉された部屋でなければならないことがほとんどです。

サンドウィッチを製造販売する場合、パンを作る部屋とは別にもう1つ間仕切りで密閉された部屋を必要とするケースが多く、合計2つ部屋が必要になり店舗の面積を使うだけでなく工事費も高くなります。

また間仕切りの部屋にするだけでなく、手洗いやシンクの数、お湯と水が使えるか、天井の構造や床の素材(防水など)、包丁などの器具、お皿等を収納できる戸袋などが一般的です。

今まで開業してきた都道府県の保健所では、専用のまな板と包丁がいるケースやパン屋でも間仕切りにしなくてもいい場合などもありました。

各保健所において施設基準における解釈が違うため、設計段階で施設基準の確認に、保健所に事前相談することをおすすめします。

確認せずに工事が進んでしまってから申請してしまうと、施設基準を満たさないため工事をやり直して、余計に工事費が掛かってしまうのは避けなければなりません。

事前相談の段階から保健所で確認を取って、工務店や設計士の方に伝えましょう。

またオーブンやレンジ、フライヤー等の熱機器を扱う場合の消防関連の設備も含めて店舗設計していきましょう。

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営業するためには、その他消防関係の許認可や届出も必要です。
内装業者によっては、消防関係の許認可や届出を代行してくれます。
設計や見積りの段階で最初に伝えておきましょう。

資格と営業許可を取得する手順

お店の開業に必要な資格と営業許可申請から取得、お店の開業までを手順にしました。

開業スケジュールに保健所などの公的機関の枠を作ってスケジューリングしましょう。

①店舗の事業計画策定

どんなお店にしたいのかを決めます。
パン屋、ベーカリーカフェ、カフェ、イタリアンレストラン等。

②自分のお店の立地条件に適した物件を探す

店舗の立地に関しては、下記記事をご参照ください。

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③仮図面を作成

保健所に事前相談に行く前に、自分が想定する店舗の仮図面を作成しましょう。

図面は正確な縮尺図でなくとも簡単なラフ図で構いません。事前相談で話し合いが出来るレベルで大丈夫です。

自分の店舗動線をより完璧にするならば、お店の工事が始まるまでは何度も作って、後から後悔しないようにしておくのが望ましいです。

④保健所に事前相談

ホームページや直接電話をして管轄の保健所を調べ、事前相談に行きましょう。

作成した仮図面をコピーして図面に直接書き込めるようにしておくと、後で内装業者との打合せにも使用できます。

施設基準をしっかりと確認しておきましょう。

他にも後日申請に必要な書類や手数料の金額(保健所によって違います)等も確認しておきましょう。

食品衛生責任者の講習会を予約

ほとんどの保健所で食品衛生責任者の講習会の案内を確認出来ますので、食品衛生責任者の資格を持っていない場合は講習日日程を確認して予約しておきましょう。

もしお店の開業予定日までに講習がない場合でも、後日の講習を必ず受ける誓約書を書けば営業許可の検査も受けられますし、許可証も発行されます。

確実ではないので、心配な方で食品衛生責任者の資格を持っていない方は、今のうちに講習を受けて取得しておきましょう。

⑤内装業者と打合せ

保健所の事前相談で確認した施設基準を、施工してもらう内装業者の方に伝えましょう。

見積り予算内なのか、施設基準によって動線がどう変わるのかなどを様々な視点から確認して最終図面を製本します。

最終の見積りや図面・工事工程表が出来れば、公的機関への借入にも事業計画と一緒に添付出来ます。

⑥保健所へ営業許可の申請

事前相談で確認しておいた必要書類や手数料、最終図面や店舗の地図をもって保健所で営業許可の申請を行います。

書類や図面をもとに施設基準の確認、手数料の支払い(領収書も忘れずにもらいましょう)などを済ませたら、検査日の予約を入れます。

検査は保健所が指定する箇所、特に厨房やトイレは水やお湯が使える状態、厨房設備の搬入設置が完了していなければなりません。

検査日までに出来ていない時は後日再検査になり、オープンに間に合わないかもしれませんので、工事工程表やお店の研修などの予定を見て検査日の予約を入れましょう。

⑦保健所の検査当日

検査予約当日、店舗にて保健所の担当者が施設基準を1つずつ確認されます。説明できる人が立ち会いましょう。

ちゃんとお湯が出るか、間仕切りがされているか等確認していきます。

保健所によってはパンの設備の説明まで求められる時があります。

検査で項目が全てクリアされれば、その段階から営業の許可は出ます。

営業許可の証書は後日発行されるため、受け取りに必要な書類などは失くさずに保管して、受け取りに行くのも忘れないようにしてください。

もし公的機関等の借入に営業許可証の写し(コピー)が必要な場合は、保健所に同じ効力のある証明書を発行して提出しましょう。

消防検査

消防検査もお店がオープンするまでに実施します。

消防関係の許認可や届出を代行していない場合は、店舗を管轄する行政区の各消防署予防課などに、保健所と同じく事前相談をして申請してください。

店舗の規模によっては、防火管理者の資格も必要になってきます。

⑧お店のオープン

いよいよお店のオープンです!

営業許可証が発行されたらお店の中でお客様が見える位置に掲示します。
営業許可にも期限があり、概ね5年で更新申請が必要になります。

更新の際は、令和3年6月から義務化されたHACCPの衛生管理計画も忘れないで整えるようにしておきましょう。

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さいごに

お店を開業するための資格や営業許可の申請は難しいことではありません。

何よりも大切なことは、どんなお店や商品で、どんな人に、どのように販売していくのかという戦略をしっかりと定めておくことです。

方向性が定まっていれば、手続きや打合せでもスムーズに進みます。

しかし戦略が定まっていないと余計に時間が掛かってしまったり、無駄なお金を使わなければならなくなります。

しっかりとした店舗コンセプトや戦略を考えることが大事です。

CRAFT + FOOD CO.
代表  甲斐 優志

独立開業するのであれば、管轄の税務署への「開業届」の提出。
従業員スタッフを雇う場合は、労働基準監督署・公共職業安定所・社会保険事務所への手続きも忘れないようにしましょう。

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