多くの企業やお店で勘違いしてしまっていることが多い、ビジネスにおける大前提。
誰もが陥りやすいからこそ、なぜ人は商品を購入するのかという基本から見直してみると、商品の作り方、伝え方、集客の仕方、広告のターゲッティングや打ち出し方、店舗設計など様々な点で役に立つことがわかります。
では、ビジネスの大前提とは何なのか。
一緒に考えていきましょう。
目 次
誰もが陥りやすいビジネスにおける大前提とは
あなたは自分たちが売っている商品、または売ろうと考えている商品を見てどう思いますか。
ここで一度考えてみてください。
自分なら絶対買おうと思いましたか。
それは他のお店よりも価格が安いからですか。
種類が多いからですか。
機能が優れているからですか。
それとも商品の見た目、デザインが良いからですか。
では、その商品は売れていますか。
もし売れ行きが良くない場合は、ビジネスにおける大前提を間違えてしまってるからかもしれません。
では、ここからはその大前提を一緒に見ていきましょう。
マーケティングの有名な格言に、下記のような言葉があります。
「顧客が欲しいのはドリルではない
ドリルのあける『穴』が欲しいのだ」
セオドア・レビットの「マーケティング発想法」より
この言葉を補足すると「4分の1インチドリルが100万個売れたのは、人々がドリルではなく4分の1インチの穴が欲しかったから」で、どんなに優れたドリルがあったとしても、顧客が欲しいと思っていたのは、ドリルよりもドリルによってあけられる『穴』を必要としていたという事です。
さらに補足するとその『穴』が出来ることによって、顧客が何が出来るようになるのかということが重要だったりします。
顧客もしくはお客様が、必要としていたのは何なのか。
それは優れた商品を手に入れることでも、マニアのように商品を集めることでもないということです。
そもそも優れた商品なのに売れないのは、売り手側の都合でしかないからです。
世の中の商品やサービスを見ても多いことですが、「これだけ考えた自分の商品なら間違いなく売れる!」と、どうしても確信してしまいがちです。
これは誰もが陥りやすいことなのです。
もし間違えていたとしても、ここから戦略を練り直していきましょう。
なぜ、人は商品を購入するのか。
人が商品を購入する理由。
それは、その人が問題を抱えていて、その問題を解決する方法を求めて、あなたの場所へ訪れたのです。
人は問題解決を図るために商品を購入するのです。
売り手の計画や都合・理論などのプロダクトアウト志向になると、どうしても顧客のニーズを見失いがちです。
もちろんプロダクトアウトも重要です。解決方法がわかっても解決できる能力がなければいけません。
問題解決するためには、顧客のニーズにも対応しなければなりません。
プロダクトアウトや顧客のニーズの両方をバランスよく考えていくと、商品設計や種類、サービスの方法などが大きく変わっていくことがわかります。
お客様に商品を1つ購入してもらっただけで満足していませんか。
もしかしたら、お客様の問題解決に向き合っていれば…
もっと別の角度から他の商品や、次の売上担保に繋がるものを提供できたかもしれません。それによっては、先の経営においても安定させていく可能性も高まります。
では、どのようにしてお客様の問題解決を図ればいいのでしょうか。
ここからは『ベネフィット(Benefit)』という言葉を使いながら考えていきましょう。
『ベネフィット(Benefit)』とは
ベネフィットとはどういったものなのでしょうか。
ベネフィットとは、提供する商品やサービスを購入することで顧客(お客様)が得られる利益や効能のことをいいます。
そもそも商品が良いものである事は、お客様にとっては当たり前の大前提です。
商品を購入することで得られる効能・豊かな未来や問題解決を図り、お客様はその商品を購入しています。
ここを間違えてしまうと…
- 「商品棚を埋めるために、この商品を並べよう。」
- 材料を使い切るために、商品開発をしてしまう。
- 高級な材料を使えば買ってくれるだろう。など
自分本位になってしまい、商品をただ並べているだけであったり、ニーズに応えられていなかったりします。そうなってしまうと、リピートやお客様のファン化も難しくなり、その先にある売上担保にも繋がらずに終わってしまいます。
では、ベネフィットにはどのようなものがあるのでしょうか。
種類を知れば解決の糸口に近づくことが出来るかもしれません。
ベネフィットの種類とは
ベネフィットには、実用的なベネフィットと感情的なベネフィットがあり、そして、それらをうまく活用して自己表現する社会的なベネフィットがあります。
実用的なベネフィット
その商品やサービスの持つ特性、機能をいい、例えばお客様にとって「美味しい」「はやい」「簡単」「便利」などが挙げられます。
感情的なベネフィット
商品やサービスを受けることでお客様が得られるプラスな感情のことをいい、例えば「高級感」「安心感」「楽しさ」「充実感」などが挙げられます。
2つのベネフィットをうまく活用している例に「しっとりしたもちもち生地で、やさしい甘みが感じられ美味しい」機能的なベネフィットに加え、「使われている原材料から高級感があり、お土産や差し入れに丁度良いデザインや包装、高級なのに価格も良心的」といった感情的なベネフィットを使った、高級食パン専門店などが挙げられます。
社会的なベネフィット
そしてもう1つの社会的なベネフィットとは、商品やサービスでお客様が自己表現や自己実現ができ、お客様のもつ「理想」や「未来」に近づける「自己表現欲求」を満たすことができるベネフィットをいいます。
ベネフィットは1つずつだけではうまく機能しません。
特に世の中に多いのが機能的なベネフィットで、機能や特長だけを並べて争っている店舗や企業が多いです。
この場合、他社とは差をつけにくく市場内での競争も激しいため、価格競争に巻き込まれ資本の高い方が有利に動きやすくなります。利益も薄くなり継続性にも欠けることになります。
少ない資本でも継続したい、他社と差別化をつけたいのであれば、お客様にとって当たり前の機能は大前提に、感情的なベネフィットと社会的なベネフィットを重視することで差別化を行い、自社にしかない強みをブランディングする必要があります。
まとめ
自分が提供している商品やサービスを、ビジネスの大前提やベネフィットの観点から見つめ直してみると様々なことが見えるようになります。
ポイントは、お客様が自分たちの「何に」対して問題解決を図り、「なぜ」購入しているのかを知ること。また「どんなお客様」が自分たちの商品を購入しているのかターゲッティング出来れば、「どのようにして」提供していくのかが見えてきます。
うまくベネフィットを組み合わせていくことで問題解決して、自分たちのファンをつくっていきましょう。
そうすることで自分たちにとって必要なお客様だけが来店されるようになれば、それ程大きなトラブルやクレームも減り、継続して売上を上げていくことが出来るようになっていきます。
ここまで読んで頂けたら是非!紙とペンをもって、自分の商品やサービスのベネフィットを考えてみましょう!
下記リストをもとに自分の商品やサービスについてベネフィットを把握してみてください!
新しい発見があるかもしれません!
ベネフィットを整理する手順
- 自分の商品又はカテゴリー毎でもいいので、紙に書き出してください。
- 書き出したら、3つのベネフィットグループ(機能的・感情的・社会的)毎にベネフィットを書き分けてください。
- 3つのベネフィットで得られたキーワードを組み合わせて、いくつか文章にしてコピーライティングしてください。
- 3で作った文章が、お客様にとってあなたが問題解決できる事なら、すぐに言語化・可視化してお客様に提案してみましょう。
自信をもってお客様に売り出していきましょう!
CRAFT + FOOD CO.
代表 甲斐 優志
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